自分の未来をビルドしたい

未経験で職務経歴がボロボロの人がSEを目指していきます

ドリップ

「過去の苦味ですか。そうですね、貴方には色々とあった、いろいろと。あのことを悔やんでいるのですか。それとも憎んでいるのですか」

半分ずつ、どっちもという言葉を私は飲み込んだ。後悔もあるし激しい燃え盛る憎悪は今もなお私の中にある。どうして私はあのような選択をしたのか、なぜあのような目に遭わなければならなかったのか。いま思い返しても「苦味」しかない。

「貴方は通常の時は平静を保ち温厚な性格だ。それに自分を高めていこうという上昇志向もある、精神的にもタフなほうだ。だからこそ解せない、なぜあのようなことになったのか。いや、あのようなことをしたのか」

私だって好きでしたんじゃない。言うなれば災害に巻き込まれたようなものです。それも人災に。故意に起こされた人災に背中をどすと押されて巻き込まれたんだ。失礼、声が大きくなってしまいました。気付くと周りの客がの何事かと、こちらの席を見て注目を浴びている。店主はゴホンと咳をし注意を促している。

「いやこちらこそ故意じゃないにしろ扇情的な言葉を云って申し訳ない。そう確かにあれは人災だな、とびっきりの悪意と苦味を込めた。さあ、そろそろ本題に入りましょうか。最初はあの時にどんなことがあったのかをくどいようですが再び話してもらえないかな」

もちろんです、振り返ることに私が苦味から解放されるヒントがある。先生はそう仰いましたよね。そう、あれは…。私はあの時のことを静かに話し始めた。