自分の未来をビルドしたい

未経験で職務経歴がボロボロの人がSEを目指していきます

過去2

私はこの品行方正な生徒が多数いるクラスで良かったと心から思っていた。他の同僚にも嬉しそうに自慢していた。私は運に恵まれましたよ、日頃の行いが功を奏したのですかねと冗談混じりに。
しかし、自慢を聞く一部の同僚の顔はなにか釈然としない。しまった、自慢が過ぎたかと最初は思っていた。 だがある同僚から耳を疑うような話を聞いた。あのクラスは畏怖の権化、だと。最初は良い生徒たちに恵まれている私への妬みからくるハッタリかと思っていた。どうにも違うことがその同僚の顔つきと声色から伺えた。
「あのクラスはね、担任が不思議な、いや奇妙な形で代わっていくんですよ。代わるだけならいい、教師をその後に辞める人も多い。それも数人ではない、何十人の先生があのクラスを担当して教壇から去っていったか」
「まさか、そんな悪名高いクラスなら私の耳に入るはずだよ。私だってこの学校に来て年数は少ないないのを先生も知っているでしょう」
「これはね、一部の先生しか知らない極秘事項なんです。ここは品行方正や厳格さで名が高い学校だ。スキャンダルなんかあってごらんなさい、入学する生徒は減り保護者からはクレームの嵐だ」
私は俄かに彼の言うことを信じることは出来なかった。とてもそんな問題のあるクラスに見えないし、実際にとても良い生徒たちがいるところだ。
なにかの間違いではないか、この先生は少し疲れているのではないか、ゴシップ好きが過ぎているのではないか。私は聴いたことを与太話としか信じることが出来なかった。だが私にその噂を話してくれた先生が翌週から学校を去り、後で知ったことだが我らの談話を教頭が耳を傾けていた、その噂を事実であることを認識し始めるには充分なことだった。